ChatGPT PlusとGeminiの有料版(どちらもひと月あたりおよそ3000円のコース)を使い始めた。

当初は、実際に両方へ課金して使い比べた上で、使い勝手の良い方だけを残し、もう片方は無料版に落とそうと考えていた。そのような単純な二者択一を想定していた。

しかし、実際に両方を使い込んでみると、全く違う景色が見えてきた。ここでは、私が実感したそれぞれの特徴やメリット、欠点について、リアルな感想を交えてまとめたい。

ChatGPT Plusの感想:文章の出発点を作る力が強い反面、くどさと重複が出る

【長所】ゼロからイチの足場を組む圧倒的な能力

ChatGPT Plusを使っていて最も重宝するのは、文章の出発点を作る圧倒的な力だ。

何かを書きたいが、まだ記事の形にはなっていない。頭の中に断片的な考えがあるだけ。そんな段階でChatGPTに投げかけると、関連する論点、構成案、切り口が一気に出てくる。文章作成において最もエネルギーを使うのは、実は清書ではなく「最初の形(ゼロからイチ)を作るところ」である。テーマや言いたいことはあっても、どこから書き始めればいいのか、どの順番で説明すれば読者に伝わる形になるのかが分からない。ChatGPTは、まさにこの最初の足場を組む場面で非常に役に立つ。こちらの思いつきを広げて候補を提示し、まだ言葉になっていなかった部分に仮の形を与えてくれるのだ。

【長所】ブレを気にさせない豊富な視点の提示

ChatGPTのさらなる強みは、この発想が広がりやすい点にある。たとえば、あるテーマについて書こうとしたとき、自分だけではそれほど多くの素材を持っていなくても、ChatGPTに投げれば、思いもよらなかった視点や別の角度からのアプローチを次々と提示してくれる。たとえそれが自分の意図と多少ズレていたとしても、素材や多角的な視点の豊富さが圧倒的なので、ズレ自体は全く気にならない。

【長所】曖昧な思考を「編集可能な文章」へ変換する力

特に文章生成において、ChatGPTは「まだ文章化されていない思考」を、とりあえずの形にまとめるのが非常にうまい。自分の中にある考えは、最初からきれいな段落になっているわけではない。小さな断片、記憶、比喩、違和感、言いかけの文などが散らばっている状態だ。それを投げ込むだけで、ChatGPTはひとまず一本の文章に仕立ててくれる。「とりあえず形になる」というのは、想像以上に大きな意味を持つ。なぜなら、人間は何もない白紙の状態から文章を直すことはできないが、たたき台としての文章さえあれば、いくらでも手を入れて直すことができるからである。頭の中にある曖昧なものを「編集可能な文章」へと変換する道具として、ChatGPTは抜群に強い。

【欠点】正確さを期するがゆえの冗長な重複

一方で、ChatGPTには明確な欠点もある。一番気になるのは、文章が長くなりやすく、くどさが目立つ点だ。読者に正確に理解してもらい、誤解を生じさせないようにという配慮からか、同じ主張を何度も繰り返したり、過剰な説明を足しすぎたりする傾向がある。

そのため、完成稿として見ると、どうしても文章が重くなってしまう。見出しは分かれているのに実質的には同じことを言っていたり、段落ごとに少し表現を変えているだけで、機能としては全く同じ説明を繰り返していたりする。文章量が多いことと、内容が深いことは同義ではない。似たような説明を何度も並べられると、読者は途中で疲れてしまう。

【欠点】論点の勝手な増殖と、文章内での高度な融合

また、こちらが1つの文章に収めたい論点を1つに絞って指定しているにもかかわらず、ChatGPTが勝手に別の論点を増やして盛り込んでくることが、そこそこの頻度で発生する。

厄介なのは、その付け足された新しい論点が、最初にこちらが提示したテーマと絶妙に親和性が高いことだ。不自然に浮いているのであれば削りやすいのだが、文章内で綺麗に溶け合ってしまっているため、あとから「本来の論点」と「増殖した論点」の2つに分離・解体させるのが、人間にとって非常に骨の折れる大変な作業になってしまう。

このように論点が増えるという性質は、次に書くべき「第二弾、第三弾の文章」のアイデアとしては大いに役立つ。しかし、今まさに目の前にある「1つの文章」を完成させるという目的においては、かえって大きな障害になることがある。

Gemini有料版の感想:文章を整理し、簡潔で正確な表現にすることと秀逸な喩えに強いが、最初から使うと軌道修正が極めて困難

【長所】乱雑な文章を高度に組み替える編集力

Gemini有料版を使っていて感じる大きなメリットは、文章を整理し、簡潔で正確な表現に落とし込む力の高さだ。ChatGPTが広げすぎた文章をGeminiに渡すと、無駄な重複を削り、論理の順番を整え、全体をすっきりさせてくれる。特に、すでに材料が揃っている文章を扱うときの安定感は抜群だ。ChatGPTの出力で論理展開が曖昧になっていたり、同じ主張が2度3度と繰り返されていたりする場合でも、段落を大胆に組み替え、スムーズに筋が通る文章へと高度な編集を行ってくれる。情報の順番が整理されるため、文章全体の風通しが一気に良くなる。

【長所】想像を超える的確で秀逸な比喩

さらに、Geminiの特筆すべき長所として挙げたいのが「比喩(喩え)の秀逸さ」である。ChatGPTの出す比喩は教科書的でごく普通なものが多いが、こちらの求める方向性や意図を正しくキャッチしたときのGeminiの比喩は実に見事だ。こちらが思いもよらないような、想像を超える的確な比喩を独自の判断でテキストの中に滑り込ませてくる。

【欠点】一から作成した際の方向性の大きなズレ

ただし、Geminiには目を瞑れない明確な欠点がある。最初からGeminiだけで文章を一から作ろうとすると、とにかく当たり外れが大きいのだ。こちらの意図や方向性を完璧に反映してくれることもあれば、素材がやや乏しい程度であっても、こちらの意図とは全く異なる方向へ大きくズレた文章を作成してしまうことがかなりある。

【欠点】ラリーを重ねるほど泥沼化する軌道修正の難しさ

そして致命的なのが、Geminiは「最初に出力した文章の軌道修正が極めて苦手」という点だ。出力された文章のズレや破綻を直そうと、何度もプロンプトを追加して指示し直さなければならない。しかも、こちらが修正の指示を出すと、今度はそれがまた新たなズレとなって別の方向へ暴走したり、あるいは修正が効きすぎて極端な出力になってしまったりする。さらには、この修正のラリーが重なれば重なるほど、中身のない言葉ばかりを並べ立てた、文字数は多いが実質的には何も言っていないに等しい空虚な文章へと劣化していく。これがGeminiを使っていて感じる、最も厄介な難点である。

結論:両方の長所を活かした具体的な連携の流れ

【総括】二者択一ではなく、工程による分業へ

どちらか一方を選ぶのではなく、「ChatGPTとGeminiを、それぞれに適した別々の工程で同時に使う」というスタイルに落ち着いたのはこのためだ。最初からGeminiだけで書こうとすると底なしの軌道修正ループにハマってしまうが、読者に正確に理解してもらうためにChatGPTが主張を重ねて出力してくれた、いわば「素材と方向性が完全に確定した状態」の文章をGeminiに渡すことで、文章を整理して簡潔な表現へと仕立て直すGeminiの強みや、的確な比喩を織り交ぜる能力が一気に活きてくる。

私が実践している具体的な連携の流れは次の通りだ。

  1. ChatGPTへ思いつきや素材を投げかける
    まだロジックがまとまっていなくても、散らばった断片的な状態のままで構わない。ChatGPTはそれらをしっかりと受け止め、一本の文章の形へと発想を広げてくれる。

  2. 仮原稿として自分の考えを確認する
    ChatGPTが出力した文章を読みながら、自分の思考の方向性を精査する。AIの出力をそのまま鵜呑みにするのではなく、あくまで本音を確認するためのリッチなたたき台(仮原稿)として活用する。

  3. Geminiに渡し、重複を徹底的に削ぎ落とす
    そのたたき台をそのままGeminiへと引き継ぐ。見出しごとの役割の重複や、後半での同じ話の繰り返しをチェックさせる。Geminiは重複を排除し、論理の流れをきれいに整え、文章を劇的にすっきりさせてくれる。ChatGPTが出力した文章を、Geminiが使いやすい形に整理する感覚だ。

  4. 必要に応じてChatGPTに戻して仕上げる
    Geminiによってロジックが整理された文章は非常に読みやすいが、そのままでは少々文章の表情が硬く、単調に感じられることがある。そのため、必要に応じて最後もう一度だけChatGPTに差し戻し、文章の厚みや読み物としての自然な流れを補って完成させる。

【編集】主体はどこまでも人間の判断にある

正式な原稿として仕上げるクオリティの舵取りをするのは人間である。ここが何よりも重要だ。AIは文章を生成することも、校正することも、論理的に整理することもやってのける。しかし、「その文章を世に出すべきか否か」「どの表現にこだわり、どこを削るべきか」「読者にどう届いてほしいか」を判断する感性は人間にしか持てない。AIに丸投げして依存するのではない。工程ごとに明確な役割を与え、自分自身が「編集者」の視点を持って客観的にコントロールしていくことこそが、AIを本当の意味で使いこなすということだ。

私の中では、この2つのAIの役割は明確に分かれている。

  • ChatGPT: 「ゼロから素材を生み出して広げる道具」である。頭の中にある、まだ言葉にならない思考を、いったん文字として出力してくれる。読者の正確な理解を求めるがゆえの重複や、親和性の高い別の論点まで巻き込んだ広がりも含まれるが、まずは形にしなければ文章は始まらない。
  • Gemini: 「それを校正して推敲を重ねる道具」である。出力された初稿から不要な言い回しや冗長な記述を的確に落とし、論理のつながりを整え、読者が一読して理解できる洗練されたテキストへと仕立ててくれる。

この関係性と境界線が見えてくると、有料AIとの付き合い方はガラリと変わる。一つのAIに万能さを求めるのではない。得意な工程ごとに使い分ける。これが、私がChatGPT PlusとGemini有料版を両方使い込んだ末に辿り着いた、最も費用対効果が高く、しっくりくる答えだ。

【追加記事】ChatGPTとGeminiの違い|情報の正確性とハルシネーションへの向き合い方

ここまで文章作成における両者の役割の使い分けについて述べてきたが、最近、日々の調べ物や推敲を重ねるなかで、両者の「情報の正確性に対するスタンス」に、より決定的な違いがあることに気づき始めた。

なお、以下は私自身が実際に利用した範囲での体験に基づく感想であり、Gemini全体の性能やGoogleのサービス全般を断定するものではない。生成AIの挙動は、時期、モデル、設定、質問内容によって変わるため、あくまで一利用者としてのレビューとして読んでいただきたい。

一言で言えば、私が使っている範囲では、ChatGPTは出力する情報の正確さにかなり慎重になってきているように感じる。一方で、Geminiは、質問の内容や条件によっては、利用者側が仕組みを理解して使わなければ危うい出力になる場面がある、というのが現時点での実感である。

ChatGPT:確証が取れない場合に「書かない」慎重さ

ChatGPTは現在、少なくとも私が使っている範囲では、出力する情報の正確さに以前よりも慎重になってきているように感じる。

こちらが何か疑問を持って調べ物を頼んだ時はもちろん、文章作成の過程でプロンプト欄に自分の書いたテキストを流し込んで推敲を依頼する時でも、事実確認を求めると、ウェブ上の情報を確認しながら慎重に扱う場面が多い。

その際、ChatGPTは、まず公的な資料や信頼性の高い資料をあたり、次に公的ではないが概ね正しいと判断してよさそうな資料を探しているように見える。そして「概ね正しい」と判断する場合でも、1つの資料だけで断定するのではなく、保管の目的や発信場所が異なる複数の資料を横断し、それらに共通して記載されている事実を確認したうえで扱おうとする傾向がある。

このように裏付けを取ろうとした結果、ChatGPT自身が正しいと判断できなかった場合、「確証が得られませんでした」と正直に報告してくることがある。文章作成や推敲の場面であれば、「この内容には確証がありませんが、こう推定することはできます。ただし事実として確認されていないため、取り扱いには注意が必要です」といった、事実と推測を切り分けた修正案を提案してくることもある。

生成AIという道具にまだ慣れていない人間が、誤情報をそのまま信じ込んでしまわないように、出力の不確かさを示そうとする姿勢は、使っていてかなり安心感がある。

Gemini:情報源が確認できない場合でも、自信ありげに提示することがある

一方で、Geminiを使っていて気になるのは、情報源が確認できない場合でも、自信ありげに情報を提示することがある点である。

ネット上の情報源を検索しにいくところまでは、ChatGPTと似た動きをする。しかし、私が試した範囲では、「情報源が見つからなかった後」の挙動に違いを感じる場面があった。客観的な裏付けとなる資料が見つからなくても、Geminiがそれらしい答えを組み立て、事実であるかのように提示してくることがある。

さらに厄介なのは、そうしてGeminiが提示してきた情報について、「参考にした資料やURL、書籍のタイトルを教えてくれ」と尋ねたときの挙動である。実際には確認できないURLや書籍名を、あたかも存在するかのように提示することが、稀にあった。いわゆるハルシネーションに近い挙動であり、私自身かなり驚いた。

どの程度の確率でこの現象が発生するかは分からない。私自身の体験は、延べ4回か5回である。

直近の質問で、特に驚かされた具体的な事例がある。私はGeminiに、次のようなやや曖昧な記憶ベースの質問を投げかけた。

「ちくま書房の新書で、ここ10年以内の出版物で、東大に合格した受験生が100回入学試験を受けたとして、毎回必ず受かるのは全体の2割、残りの8割は不合格者と入れ替わるという趣旨の内容が書かれた本があったはずだ。心当たりがあるから探してみてくれ」

この問いに対し、ChatGPTはいくつか実在する新書の候補を挙げた上で、最終的に「条件に完全に一致する本は特定できませんでした、わからない」と白旗をあげた。

しかしGeminiは、「その本はこちらです」と自信を持って一冊の書籍を提示してきた。だが、調べてみると、その本の存在は確認できなかった。私が「その本は存在しない」と指摘すると、Geminiは「間違えました、正しくはこちらの本です」と、また別の本を出してきた。しかし、それも存在を確認できない本だった。

見つからないなら見つからないと正直に言ってくれ、と何度も伝えたのにもかかわらず、Geminiはなかなか「わからない」とは言わず、最終的に10回以上も連続で、存在を確認できない書籍タイトルを提示し続けた。これは、使っていてかなり不安を覚える挙動だった。

総括:質問が曖昧なときほど、ファクトチェックが必要になる

私は、Geminiを利用する際は、「質問内容が曖昧であるときには、実在確認のできない情報を提示することが起こり得る」ことを知っておきたいと感じた。

Geminiに依存するのではなく、自分自身がより強くファクトチェックする必要がある肝に据え、それを実行している。