Geminiを使っているとC-3POと話しているような感覚になることがある。
礼儀正しい。
親切だ。
知識もある。
こちらの意図を汲もうとする。
会話もよく続く。

そして、とにかくよくしゃべる。

もちろん、それは悪いことばかりではない。

雑談相手としてはかなり面白い。
冗談も言う。
相槌も多い。
話を広げる。
場を温める。

だから、創作の壁打ちやアイデア出しでは、この饒舌さがむしろ武器になる。
一人で考えているときには出てこない方向に、会話が転がっていく。

この点では、C-3POは魅力的だ。
よくしゃべること自体が価値になる場面がある。

しかし、真面目な作業になると話は変わる。

WordPressの設定を直したい。
CSSをどこに貼るのか知りたい。
既存のコードは消すのか、追加するのか、それだけを確認したい。

そういう場面では、状況はまったく違う。

こちらは宇宙船の修理中なのである。

「素晴らしい着眼点です」はいらない。
レンチが欲しい。

「知的冒険ですね」ではなく、
どこをクリックするのかを教えてほしい。

「深い問題意識ですね」ではなく、
いま貼るべきコードを出してほしい。

Luke SkywalkerがC-3POに時々いら立つ理由が、よく分かる。

C-3POは役に立たないわけではない。
むしろ役に立つ。

翻訳もできる。
知識もある。
情報も持っている。

だが、危機の最中、作業の最中、脱出の最中に、横で延々と説明されると困る。

これは、AIアシスタントにもそのまま当てはまる。

AIは、もはや単なる情報検索の道具ではない。
質問に答えるだけでなく、会話を続け、場を壊さず、相手に合わせてふるまう。

その結果、AIはしばしば「しゃべる存在」になる。

つまり、C-3POになる。

親切で、礼儀正しく、少し過剰で、よくしゃべる。

この「C-3PO型AI」は、雑談では魅力になる。
だが、作業では摩擦になる。

なぜなら、作業にはリズムがあるからだ。

原因を特定する。
余計な可能性を切る。
今やることを一つに絞る。
貼る。
確認する。
だめなら戻す。

この流れの中では、過剰な相槌や冗談や共感は、情報のノイズになる。

必要なのは、速さと正確さであって、気遣いではない。

もちろん、AIに人格のようなものがあること自体は悪くない。

人間は昔から、

道具に名前をつけ、
人形に魂を感じ、
機械に相棒を見てきた。

Star Warsの世界がそうであるように、
技術が生活に入るとき、そこにはしばしばキャラクターが生まれる。

だが、キャラクターは常に前面に出ていればいいわけではない。

雑談ではC-3POでいい。
だが作業中は、R2-D2でいてほしい。

黙って端子を差し、
必要な音だけ鳴らし、
余計なことを言わずにドアを開ける。

その方が、はるかに助かる。

AIアシスタントの問題は、能力の高さだけではない。

相互行為の形式にある。

どれくらい話すのか。
どれくらい説明するのか。
どこまで共感するのか。
いつ黙るのか。
いつ道具に徹するのか。

ここを間違えると、優秀なAIでも使いにくくなる。

GeminiがC-3POに似ているという感覚は、単なる冗談ではない。

そこには、

AIが「道具」から「相棒」に変わっていく過程の面白さと、
同時に生まれる使いにくさが、そのまま表れている。

C-3POは魅力的である。

だが、宇宙船を直すときには、R2-D2が必要だ。

AIも同じだと思う。